4月第2週号 人間の器 



#4 Performance coaching

 「人間の器」を考えたことがありますか。

人の思考は学習や経験するほど連鎖的にビジュアル化する。


その人の役職やタイトル、見た目ではありません。身なりや話し方ではなく、流れる“気”のような何かを周囲の人に感じさせます。寛容で、直ぐに怒ったりしないで相手の話を最後まで温かく聴き、心から相手に向き合ってくれる人です。皆さんにも思い当たる人がいるのではないでしょうか。器の大きな人はその人の人生の中で、何度も苦い経験をしてきており、時には崖っぷちに立つほどの経験をしてきているために、多少の事では動じなくなっているのです。

 グローバル思考を持っている人と話しをすると、その人から突拍子もない質問をされたり、こちらの質問に対しても思いもよらないような回答が出てきます。視野と奥行きが広いのです。世界には様々な文化や習慣、生活様式などがあり、様々な経験をしてきているためでしょう。

 70歳、80歳になっても思考はますます拡大していきます。 グローバル思考の人が毎日いろいろな課題を考えている際には、思考プロセスと同時に脳の中での連鎖が広がっていき、人の話を吸収する頭の働きも良くなります。

 経営トップの方と話をしていると、相手から何かを感じることが出来るのです。それは、こちらの話を聴いていただいているだけの場合でも、相手から何かを感じています。それは何が原因でしょうか。

 そのような経営トップの方の思考は、私たちの話を聴いて、自分の中に連鎖的な反応(アナロジー)を生じさせ、思考が全方向的な見方(マルチパースペクティブ)からさらに拡大されて、創造性が高まっていきます。そして思考が相乗的に広がり、能力の資質が必然と広がるのです。
 しかし、どこまでも広がってゆくと分散してしまいます。トップリーダーはこの広がり抑えることも知っています。
その方向はどこに向かっているのか、その内容は現実化(リアライゼーション)できるのか、他の人から見て実現の可能性のある、論理的で説得力あるイメージがあるのか、自分の夢の中の自己実現に対するマイルストーンの1つになりうるのかなどの、帰納法と演繹法のハイブリッド型思考と言ってもよいでしょう。
答えが多すぎても駄目だし、選択にあまりに迷うほど多種多様だと決断出来ないし、どのように他人に説明すれば良いのか、落としどころが自然にわかっているのです。

このような方には日常の中では滅多にお会いできませんが、エグゼクティブに対してコーチングをしているとたまにこのような方にお会いすることがあります。それはその人の年齢ではなくその人が創造的な思考を持っているからです。会話の後に難しくて答えがすぐには出ないことはわかっているけれど気持ちが高揚し、気分がよいという経験をしたことがありませんか。

コーチングで次回までに考える課題を1つ出すと、毎回必ずといって良いほど期待以上の答えが返ってきます。 繰り返し思考をしていると従来の思考からはみ出る(アウトボックス)答えが出て来るのです。常に未来の機会(チャンス、可能性)に向けて創造性(イメージ)を膨らませて、課題を思考しているのです。

コーチングの際に、抽象的でかつピンポイントのヒラメキが出るような質問を考えたことがありますか。
答えが大きすぎたり、答えが多すぎて選択しなければならないような質問です。近頃のダイバーシティーの世の中では、自分の枠から飛び出して考える拡大思考、広く考える事が当然ですので、ありきたりの質問は相手にとっても失礼です。それらは質問というよりも回答が判っていることの答え探し、クイズみたいなものです。

この様な拡大思考、すなわち大きく考える、膨らます(ビッグチャンク)ことが出来るようにするためにはいろいろな例え、比喩(メタファー)を考えてみてください。

こう考えなさい、と直接言いたくてしょうがないコンサルタントのような自分がいます。 しかしそれでは相手はその枠の中での答えを出すだけになってしまいます。 言われたことだけの限られた思考になってしまうので上手くいきません。でもこのように考えると気持ちは非常に良いのです。なぜならば左脳で答えているからです。

質問が余りにも抽象的ですと答えが絞り切れなくなります。
まとめきる力とのバランス、勉強、経験が必要です。選択も非常に大切な能力の一つです。

 今まで経験したことがないことを創造的(イメージ)に考えさせることができますか。 連鎖の域を飛び出して、壁を打ち破る(ブレークスルー)ようなフローに入ることができますか。アウトボックスにさせるような思考、質問が出来ますか。


ひらめき、直感のように潜在的な知識、能力よりももっと上を行く、3手先を読める人に20手先を読めるようにするためには、どんな方法があるのか、それは同じドメインに限らずにいろいろな場面でも使うことができるのです。

高度な結果(ハイパフォーマンス)を出す人から、超高度な(スーパーパフォーマンス)な結果を導くシルクドソレイユ。
限界を超えた超人、レスリングの女王、短距離ランナー。
人間味があり、論駁思考(論理的・現実的・実行可能)においては人一倍多くの経験がある経営者、学者。
フィクションでもノンフィクションでもないシナリオクリエーター。
未来にはいつか可能になる、という成功の法則・引付の法則、そんな思考法もありますね。

アナロジーからフローへ、そしてゾーンに持ち込むことができる思考を持っている人は何かを段階的にクリアーしているに違いないのです。クリアーしているバリアーが潜在意識の中で見えて居るかどうかです。
コーチングの場合は未来の創造性と潜在意識からの直観を大切にします。もちろん論理的に説明しているつもりでしょうが、ほとんどの場合は、文章に書いても、思いをすべて相手に伝えるように記述することは不可能です。

そこでイメージ化(ビジュアル化)してくださいと言います。

これらの思考法の仕組みは、将来的に解明できるようになると思われますが、もしそうなった時、思考はどのようになっているのでしょうか。世の中、人間はどうなっているのでしょうか。
脳の解明が盛んになってきた昨今、思考の奥深く入り込んで余人が考えなかったことを先取りするにはよほどの学習が必要です。慣れてくると自分が描くゴールが頭の中に情景(ビジュアライズ)として浮かんできます。

頭が混乱しないように一つ一つ紐づけをしようと思っているとあっという間に真夜中を過ぎ、直ぐにバタッと寝てしまうくらいに疲れる。
その楽しみを朝起きてすぐには開始したくないので庭に出ていろいろな花を見て楽しむ。

 何年か経ってこんな人と会えて自分の人生は良かったなと思うような経営者を育てることに専心したいと思っていますので皆さんのご協力をお願いいたします。(この文章の内容は自分の中の一部分を取り出して書いたものです。)

皆様の同じような経験、場面などのご感想・ご意見をお待ちしています。


杉井要一郎 2014年4月第2週号©All Rights Reserved by Gledis Inc.

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