9月第2週号 経営者にとって一番大切な事。経営にとって一番大切な事は何でしょう。そうキーになる人材ですね。

#81 経営・マネジメント コーチング

自分の周りに大切な人材がどの位いるか数えたことがありますか。それを精査してから順序をつけていますか。ただ友達だからとか、今迄の肩書が立派だからということだけでは全く用をなしていません。特に過去に勤めていた会社の名前と肩書だけで採用することほど危険なことはありません。これらはコアな部分です。


経営・マネージメント・コーチング

組織開発に一番必要な人材のマッチングをするタレントマネージメントは形だけであっては用をなしません。
あらゆることに対するバランス感覚、特に未来感覚、創造性とヒラメキが必要です。

コーチングも全く同じです。会社や認定書だけで判断するのは絶対に危険です。アメリカのNY上場調査会社によると、いい加減なコーチはクライアントに対してむしろ害を与えていることのほうが多いと言われているのです。
コーチは会社の文化、長年にわたり育ってきた環境(潜在文化)、現在の慣習(顕在化された習慣)を明確に掴んでいなければなりません。

敢えて言わせていただくと、何が出来るかではなく、それをするために何をどのようにしたら良いかの推察が出来るかどうかがわかっていることです。
この能力を研ぎ澄ますための、逆転の発想、連想・アナロジーの能力、ひらめき・直観力、洞察眼、優しさと柔軟性などのバランス感覚と推察力を身につけることです。

これらが身体からにじみ出ているような習慣になると本物です。
これこそが本人のプレゼンスで、誰が見てもそのようなイメージで自分を迎えてくれるのです。
もっと思考を広げると、自分たちがいる文化とチームのリーダーと部下のレディネスの状態を知った上での行動が出来るか、そしてそれは自分として、会社として前向きに挑戦しているかを知ることです。

これらは経営だけでなく販売・セールスの時にも全く同じです。そのキーパーソンの人が本当に決定権を持っているのか、ただ情報提供者だけなのか、自分を売り込もうとしているのか、反対意見を持っていて我々のビジネスをブロックする人なのか、単なる話し相手、時間つぶしなのか、この人の承認を貰えば50%良い方向に行くのか。

これ等に挑戦できるような経営者、営業をいかに育てるかが一番大切な鍵です。それらのCore Competenceの文化を植え付けるのが経営者です。

大企業に長年勤務してきた人、あまり緊張がない会社にいてそこでの習慣に慣れてしまいクローズドの世界しかわからない人は、時代が変わって新しい経営感覚での環境や習慣を手に入れなくてはならないことは理屈ではわかっていてもそれを実行することが非常に難しく、なかなか実行できないのです。この頭でわかっていても行動に移すことができないのが自分でやった事がない人です。

特に今迄他の経営者の下でComfort Zoneにいた人が、常に新しい緊張感があるような環境の中に身を置くことに慣れるのは並大抵ではありません。

本当にどんな人が必要か真剣に考えたことがありますか。

クローズド環境とは何かを徹底的に研究しましょう。特に文化に関しては、地域、会社、チーム、個人の中で、その範囲・単位が一番小さいところにいる人はそのチャンクを広げることを学ばなければなりません。それが個人でわかっていればよいのですがその観察の視点がどこにあるのか見分けられるようにリーダーにコーチするのです。

マクロ経済とミクロ経済の中でのバランス理解度と同じです。
格差のある社会でチャンクの縦と横の伸縮の違いは、人の思考の大きさの違いです。それが経営能力なのです。

今では一人の社長が行う決定事項は10%よりも少なくなっています。逆にオープンな環境では4名以上のステークホルダーが決定を行い、順位はあるとしても複雑な思考の中で整理することが求められているのです。

この複雑な社会においてもっとシンプルにしなければならないこともあります。
思考もそうですし、特に普段の生き方や生活様式もそうです。あまり複雑にしてもそれについていける人といけない人がでてきます。

能力、思考力も生まれた時は誰でも同じスタートポイントで蓄積はゼロです。能力を上げるための努力をしないで皆同じようになることができればよいのですが、そうはいきません。


人間関係が大切とおっしゃる方はその通りですが、何のために大切なのですか。仲間としての情報交換だけなのか、それとも単なる会話を楽しんでいるのか、建設的に話し合っているのか、お互いが切磋琢磨してもっと向上しようとしているのかをよく考えて人を採用しなければなりません。

時間を消費するだけの人も本当に多くいますし、自分あるいは他人に影響を与えてくれる人もいます。その人を見ただけで本当に自然とその人についていきたくなるのです。

明確なプロセスを作ることが大切だと思われる方は、人間関係はもとより、どのようにそのプロセスに影響を与えるかを考える必要があります。それができる人がインフルエンサー、影響を与える人なのです。

なぜそういう人が出てくるのか、出てこないのか。
特に日本人は人間関係を非常に大切にしています。何をおいてもチームワークですので時としては個人の強さを損なうこともあります。

チームの和(ハーモニー)を重んじることを昔から大切にしています。それが日本の文化・習慣です。
日本では多くの場合チームで何かをするときに、特にはっきりとコミュニケーションをとらなくても出来てしまったり、他にもいろいろなよいことがありますね。
これらをHigh Contextと言いますが、国によってはこのようなことは考えられません。コミュニケーションをきちんとVividにしないと意思の疎通ができないからです。
この様な日本に代表される単一な文化はアメリカのような多様性を多く含んだ文化と異なり、もろい部分があります。
単一的な思考や文化はもろくて一度責められると直ぐに壊れてしまうガラスの城みたいなものです。
芯が強くないので直ぐ曲がってしまったり、外からの圧力によりすぐに壊れてしまったり、皆と一緒でないと安心できなかったり、一人の意見にすぐに同調してしまいます。
それらが日本人の良いところでもあり、又弱いところでもあります。

では人が次々出入りする時代になってきている現在の経営環境において、あなたの会社はどのようなプロセスを持って、何のために経営をしているかという一人ひとりのミッションが明確になっていますか。
2015年になって一番日本で求められているものは何だと思いますか。

  • オープンな会話、質問が出来る人間関係    
  • コンストラクティブ(健全な)緊張 次への行動への一歩
  • ソリューションをお互いに話し合える関係
  • 嫌な話題でも必要なことは話すことができる環境

そうです、グローバル化ですね。ではグローバル化と日本の人間関係の両者のよいところと悪いところを考えてください。

仲良しはもう日本でも流行りません。グローバル化が進み、時間が短くなり(アジリティー)、いろいろな複雑な決済方式が生まれてきている現在は、一人の人が全てを決断できる時代ではないのです。

市場が大きくなったおかげでいろいろなシステムが複雑に入り混じっています。
お互いが切磋琢磨して戦わないとグローバル社会ではすぐに負けてしまいます。

この世の中が大きく爆発寸前まで膨らんでいて、かつ複雑なシステムになり、一人の力/能力では何もできなくなっている時代です。
情報はオープンに多くの人と共有されていて本当に誰が決裁者なのかわからないのです。
もしかしたらパソコンのソフトが決裁しているかもしれない時代です。

では人間関係は何のためにあるのでしょうか。

これと同じことが工業化社会の日本にはびこっている古い経営体質です。ご自分の会社の決済プロセスを良く見てください。ソフトで固められていますか、それとも人の判断だけで決められていますか。

Time powerの6つの力を常に考えましょう。
  1. 誰に決裁権がありますか。部下にエンパワーされていますか。
  2. ご自分で全体の状態を把握できるようになっていますか。
  3. 上司に何をしてもらっていますか。
  4. 自分でやっていること、大切なミッションが明確になっていますか。
  5. 全ての報告が掌握できていますか。
  6. Verify 出来る位のコミットメントが明確ですか。

もしそれらが出来ていないとしたら、何をもってリーダーと言いますか。
リーダーもマネージャーも同じに考えていませんか。エグゼクティブとマネージャーを混同していませんか。

では、集団とはどのような事を言うのでしょう。
チームと組織・団体と何が違うのでしょう。
会社とビジネス上の決断手段との違いはなんでしょう。
目的とゴール、価値観が一致していても、一つの組織・団体だけに所属する時代ではなくなっています。

多くの組織・団体に所属することで生活や思考が複雑になり、時間がなくなり、その結果新しい事ができなくなってやっと自分を取り戻そうとしている現代において、誰かが環境の変化を整理してあげなければ、一人だけで自分探しをしたり、何かを発見することはできたとしても現在のことだけに留まることになってしまいます。

情報社会でたくさんの情報が入り、どのようにするかを考えるのもIoTが整理するようになってしまいました。人、ものを通しての情報伝達がなくなってきているのです。人間は何を思考すればよいのでしょうか。

思考とは一人ひとりが自分の考えを持つものだと思っていたのがITのお蔭で過去のデーターが全て蓄積、分析されているではないですか。

では自分の思考だけではなく他人の思考をも連携して使えるようにしたらどうでしょうか。昔の分散処理の始まりは分散している能力を如何に一か所に集めて利用することでした。
集中から分散の思考を取り入れ、今では分散を集中に持って行ってその中での利用をクラウド上で考えているのです。

頭がついていけるとは思いますが、クラウドの中での話と、マスターボードをどのように作成するかの智恵は一部のできる人にはできますが、99%の人には思考の限界を超えているので、従来の思考法をどこかに置いておいて再出発をしなければなりません。

未来を語りましょう。

  杉井要一郎 / 2015年9月第2週号 © All rights Reserved by Gledis Inc.

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