9月第1週号 プレゼンスとアイデンティティー (Presence & Identity) 日本人リーダーの独自性・アイデンティティーは、世界からどのように見られているのか。この独自性やアイデンティティーは個人のプレゼンスとは異なり、もっと潜在的な大きな意味を含んでいるものと考えられています。

#80 Transformational coaching




グローバル社会に対応できる、さらにはグローバル社会を牽引していける日本人リーダーの育成が叫ばれて久しくなっています。ゆで蛙現象で言うぬるま湯の中にいる日本人リーダーはグローバル社会・グローバル経営にどう対応していくのか。ガラパゴス状態のコンフォートゾーンから抜け出せないリーダーをその小さな世界、器の中から取り出して、深く、自由に根を張らせて大きく育てるためにはどうしますか。ご自分のことを言われているのです。


Transformational coaching

 今世界のリーダーはハングリー精神を剥き出しにして、本当のトップになるためには、資本主義社会で大きな夢を実現させるには、国に富みをもたらせるにはなどを必死になって考え勉強し、グローバル展開のチャンスをとらえて発達段階を登っています。

又、これらのリーダー以外の人達もちょうど日本が戦後の成長曲線を一気に駆け上がった時のようにがむしゃらに競争に勝とうとしています。皆さんの近 隣の国ASEANやアフリカ、中南米の国々の人達が他の国の文化を取り入れ研究し、自分がどのように世界で活躍したら良いかのアイデンティティーを打ち立 てているのです。このような状況の中で、ぬるま湯に浸かっている日本企業のリーダーに喝を入れるにはどうしたらよいのでしょうか。

グローバルで活躍している日本の企業戦士もまだたくさんいます。そのような人たちがいる企業は間違いなく大手になっていますが、さらにトヨタをはじ めとして、非常に厳しい環境にどう打ち勝つかを世界中に示しているのです。その一方で、小さく、こじんまりと良い気持ちでお風呂に入っているゆで蛙の様な 私たちは単一の国の中で何の問題もなく、泰平を謳歌しているのです。

あなたはリーダーとして今後どのように活躍したいですか。今は戦後経済70年と言いますが、最初の40年間は日本もハングリー精神を持った一流戦士 が世界中を駆け回っていたのです。もう少し遡って150年前、近代日本を作り上げようとして、薩長と幕府が戦っていたのです。今のように幸せ一杯で、大き な夢は持たないけれど他国からの経済戦略を少しも心配せず税金と年金で生活をするなどとは当時は誰一人として考えていなかったのです。これはあなたのスタ イルとしてプレセンスですか、それともアイデンティティーですか。

私達はエグゼクティブコーチングを通して世界中のリーダーに、常に未来に挑戦するためには自分の箱から飛び出さなければいけません、と話していま す。それは今ではほとんど見たことがないでしょうけれど、逆さまにしたドーム状のボールの中でジャンプする蚤を思い浮かべてみてください。ボールで飛び上 がる限界を作ってしまうと、蚤はそれ以上高くジャンプしなくなります。これと同様に私たちも一度安全な世界に浸ると、新しいことに挑戦しようとしてもどう せ叶わぬ夢だと思って、それ以上の挑戦をしなくなってしまっているのです。

全ての人がそうだとは言っているのではありませんが、日本人のリーダーの多くがこのような状態にあるのは間違いありません。
何も皆さんに、早くそのような状態から抜け出しなさいと言っているのではありません。多くの人は過去にそれだけの努力をしてきたおり、今は自然との調和、スローな人生を過ごしたいと思いやっと念願かなってきたのですから。

コーチングは未来のゴールをもっとよくするにはどのようにしたらよいかを探すのです。あるいは今の状態からどのように変革、変容するか、または発 明、インヴェント(Invent)するかです。皆さんは将来のために小さい時から勉強をしてきたのです。政府がこれは必要だと思って国の資格制度を作り、それ に合格をすればいつまでも安定した技術、能力の保持者として一生過ごすことができるルールを国民に示してきたのです。それが弁護士やCPA・公認会計士な どで、世界中でも認められる能力です。いろいろな国の制度として一生困らないように作ってきた制度が今では陳腐化しているのです。これらの資格よりももっ と皆が簡単に取れるものもいっぱいあります。最近では国でなくて民間でもがビジネスとして様々な資格が誰にでもとれるようになってきています。それは、大 きな波紋のように世界中で生じてきたのです。これはアイデンティティーではなく単なる名前としか言いようのないものになってしまったのです。

人口は毎年のように減っていきます。いろいろな資格を持っている人はどんどん増えていきます。でもこれらの資格を持っている人ももう飽和状態で、地 域でも国でも一杯になってきており、今ではグローバルの社会で一番になるにはどのようにしたらよいかを自分で考えるようになってきました。世界でも認めら れるように皆が様々な似通った資格を5つも、10も持っているのです。これでは競争社会の中で特出しているとはいいがたい状態になってしまっています。で はグローバルになり、箱から飛び出すにはどうしたら良いでしょうか。先ず自分で考えてみましょう。

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それはどうしてそう思いますか。どのようにしたらそれが本当のOut of the boxになっていると感じますか。政治家のトップノッチの人が必至で世界中で戦い、かろうじてGDP維持しています。皆さんのほとんどが国の考え、税金を 投入した社会的な事業に乗っているのではないですか。日本の官僚が過去に作ったルールに則っているだけではないですか。50年前に作られた日本の戦略、戦 術を担いで未来に挑戦しようとしているのが現実だということが身に染みているのではありませんか。

IoT(Internet of things)が叫ばれて既に5年。ユビキタスから始まってウエラブル、そしてIBMのワトソンAI、ペッパー君、本田の  アシモ。人に代わって考える こともデーターベースにとってかわられようとしているこの時に、50年前の資格を取るのは時代の逆をいっているようなものです。私はコーチとしてリーダー にお願いしたいのです。今本当に日本を最先端の国にしていくにはどのようにリーダーと手を組んで行けばよいのかを試行錯誤しなければいけないと。そしてそ のためのアイデンティティー、プレゼンスとは何かを考えることです。

 従来の固定概念、固定資産、固定信念、固定思考から脱皮するにはどのような思考が必要ですか。
自分で知らない事、相手も知らない事、誰も知らない事を考える癖をつけましょう。そして決断です。実行するのです。

あなたが今考えている未来への挑戦で実行できるよい決断とはなんですか。
それは想像・創造でも結構です。
皆がビックリするような箱から飛び出すような挑戦です。

  • あなたのその決断を止める内容、問題はなんですか。
  • 決断したことに挑戦をするとしたら、どんなサポートが必要ですか、なんでも結構です。
  • 本心は未来に向かって何をしたいのですか。

自分で苦労して起業し、荒波にのまれ、毎日をどうやって勝ち残るかにかけている起業家をサポートすることを考えてください。

若い人たちはきっと同じことを考えています。なぜならば彼ら彼女らの未来の人生だからです。もしもあなたがこれらの未来を担う若者たちに本当に必要とされているならば、あなたのまわりには未来を考える人たち、理想と想像力を持った人たちが集まっているでしょう。
最良とはあなたが自分で決める事です。あなたはその権限を自分で持っているのです。それらを人生の与えられた時間内にやるのがあなたのリーダーとしての役目です。

 それがあなたの持っているアイデンティティーでもあり、プレゼンスでもあるのです。

人生を如何にして有意義に過ごすかがあなたのアイデンティティーなのです。

  杉井要一郎 / 2015年9月第1週号 © All rights Reserved by Gledis Inc.

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