10月第1週号 企業の四種の神器である理念、ビジョン、ミッション、企業統治とは。

#84 企業統治


経営規範である企業ガバナンス・企業責任と倫理、もしこれらが反古になっていたら、一体誰の為にこれらはあるのでしょうか。

*企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、企業価値の増大に向けた企業経営の仕組み。企業統治(きぎょうとうち)

倫理・ガバナンス・コーチング

 
日本の企業が戦後求められ、追求してきた最も大切なことに品質管理・TQCがあります。TQCの主体は人です。品質管理・TQCが言われきて既に50年以上たっています。日本の企業は物まねから脱却して独自で全ての品質責任を取るようになってきました。

わずか15年で急激に成長・発展してきた中国に対して企業責任・ガバナンスが求められています。発展途上国、開発途上国にある初期の大きな壁を越えなければならない際の大きな課題です。これらは品質管理としてマルコム・ボルドリッジ、TQC, シックスΣ、企業倫理として工業化社会では当然のことと考えられています。 特に地球環境の問題は京都議定書という形でその対応策が出されています。世界中の人々に大きな危害を与えている食物、人が毎日呼吸している空気中の一酸化炭素の購入権まで発生している時代です。一個人にとっては小さな問題ですが、それが今では地球をめぐる大問題になっているのです。30年前までは浜辺で日光浴をするためにTanning oil 日焼けオイルを塗って身体中に太陽の日差しをいっぱい浴びて楽しんでいました。それがオゾン層の破壊問題から発展して、今では過剰な日光浴は危険といわれるようになっています。

地球環境へのガバナンス・コーチング


企業が守らなければならない諸々の企業倫理があります。これは個人から、チーム、グループ、会社、産業グループ、国、地域、地球にまで関係する大きな課題です。もしこの倫理が地球上にないとしたらどのようになるか考えてみましょう。
この倫理の例としては弁護士倫理、公認会計士倫理、医者の倫理、国家公務員・政治家の倫理、スポーツ選手そしてコーチ倫理まであるのです。

グローバル環境が一つになった今では、個人も、会社も、国も全てが相互に影響するのです。特に企業のリーダーが地球に与えるような企業倫理に背くことは社会的な責任でもあるのです。かつてはエンロン、リーマンなどがありましたが、今ではグローバル企業で起きています。

最近では中国が化学薬品の爆発を起こしたり、食品で農薬を大量に使用したり、ヨーロパでは難民を拒んだり、難民を仲介して助けることをビジネスにして人々を危険な目にあわせたり、日本の自動車エアバッグ安全装置リコール、某電機メーカーも大きな財務会計上の倫理を欠いて株主から信用を失ったり、ドイツのジーゼルエンジン自動車メーカーの排気ガスの検査のがれもしかりです。一企業がその会社だけでなく、世界中の人々を恐怖に陥らせているのです。
それらは会社のステークホルダーが何年もかかって犯しているもので、もちろんリーダーが全て関与しているのです。

本来は個人が最小の単位です。個人の倫理、守るべき内容は限られています。国の倫理、と比べると小さな個人の責任と義務に負っているのです。

ではこの小さな単位、個人のリーダーシップ・責任はどのように企業の中で機能しているのでしょう。大企業ですから、まさか本人一人だけの問題とはだれも思ってないでしょう。
本来はあってはいけない事を堂々とできるその個人のメンタルや、ものすごい力が働いているに違いありません。たとえそれが他の人が知っていても隠し通せると思ったり、あるいは何も思わずに行動しているのです。それを追及するのではなく、その様な結果になるための未来への人間として、リーダーとしてのコンピタンスを理解しなければなりません。
人の目に見えないこれ等の個人、ステークホルダーが持っている力とは何でしょうか。
企業のROE、これは単なる数字なのでしょうか。企業理念も含んでいるとしたらどんな理念、そしてそれにつながるビジョン、それを行動に移すミッションとはどのようなことですか。この4つを知っていますか。全て人が作ったものです。

  • 企業理念
  • 企業ビジョン
  • 企業ミッション
  • 企業統治

この4つをしっかり遵守するために企業には監査役、危機管理室があります。昨今の企業の不祥事を見ると、この人たちが本当にその気になってチェックしてもわからない位に巧妙になっています。うまく法の目をかいくぐっているのです。

ではこの人の目をかいくぐるのを見つける事ができるとしたらそれは誰ができるのでしょう。もちろん当事者ではないはずです。

ここでエグゼクティブコーチが必要なのです。企業の社長、役員の方々からいろいろな相談を受けました。皆さん同じで企業倫理と同時に会社の利益をまず第一に考えています。次に問題解決です。

この問題解決もまだ表に出てくる前に話し相手となるのがエグゼクティブコーチです。私も何度も同じ問題解決が必要な状況に陥りました。夜中に電話を貰ったり、メールでの相談にこられたりしました。エグゼクティブコーチング中の相談が一番多い課題ですが、それほど悪質でない内容が多いです、いわゆるグレーゾーンの内容での相談です。
社員との意見の違い、最終的にコストにどう反映するか、企業コンピタンスにどう反映するか、顧客満足にどう対応できるか、社員のモラル、常連の苦情、嫌がらせ、ブラックメール、炎上SNS, いろいろなハラスメント等が多いです。

ではコーチは本当にそれらを見分け、相談相手になる事ができるのでしょうか。答えは難しいです。相手の感情と理性の両方を持ち合わせていないとこれ等のグレーゾーンを解決するのは自分ではないからです。そして
第一に守秘義務を完全に守ることです。
同時にその話の良し悪しを本当に倫理的に思考する能力を持っているかどうかでエグゼクティブコーチとしての資質が判ります。

社長さんにはこのように他の人には相談できない事が多くあります。では皆さんはどのようにこれらのガバナンス、倫理思考に対応していますか。

良い例があれば是非とも投稿ください。

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