12月第1週号 3代で断絶する価値観と人生/キャリア。人生にとって大切な私人としての4つの発達段階的な価値観と人生

#93 ライフキャリア・コーチング

これらの区別を小さい時からできるように育てるのが親あるいは教師が子供にするコーチングの始まりです。


今の30代でマネージャー、リーダー、経営者になろうとしている人たち、いわゆる戦後3代目のマネージャー以上の人たちも区別を知らない親に育てられてきたのです。特におじいさんの時の価値観と人生は三代目になると全く変わっています。

ともするとそこで断絶するのです。

この様な事を子供に考えさせること自体が自分のキャリアコーチングになっているのです。このような子供たちも気持ちの良い環境に浸っていられるのは戦後3代まで。その先は全く違った価値観になるのです。本当の団塊の世代です。

 ライフキャリア・コーチング

  
戦後の厳しい環境で育ってきた65歳以上の親は、その多くが子供には苦労させたくない、幸せに育って優秀な人間として国のために人の上にたてる人になってほしいと願っていました。

戦後親が豊かになってから生まれた子供達が親となって育てた子供は、苦労することもなく、自由奔放に育てられ、住み心地の良いComfort zoneにいる人たちです。

「幸せとは」をもっと深く考えなければならないのですが、基本的には、もっと良い教育・学問をさせ、高度なスキルを身に着け、人のためになる人生をおくってほしい。あるいは親が望む仕事に就き、お金を儲けて人のために苦労し成功する自己実現的な人になってほしいということです。もちろんこれが全てではありません。
このようなことを成功物語といいます。 成功とは自分が決めた目標を察制することですが、この段階の世代に生まれた子供たちは親の背に乗っかって育った人たちです。
子供のためにと親は子供に様々な習い事をさせてきました。これは大人の願望であって子供が自から望んでいるものではありません。
習い事と言ってもスポーツ、文化的なもの、芸術的なもの、試行発達的なもので学校では子供全員を対象として本格的には教えてくれないものです。

子供を親よりも幸せにしてやりたい、親の欲望をかなえさせたいと言う気持ちと、よその子供よりも幸せ(富を持つ;Abundance)になって欲しいと言う相対比較の欲望です。親はよっぽど苦労したか、他の人が良く見えたのです。例えば戦後の日本はアメリカを見習え、アメリカ人のようなものに対する充足した、大型の生活が幸せの見本と言う風に教わったものです。
倫理観もあれをしてはいけない、こういうことが良い人間なのであると親が教えてくれた最後の時代です。

幼稚園に入る前から子供たちは親から人生のきかっけを掴むことを始めています。習い事だけでなく、知識、信念、価値観、人生観、倫理観、道徳 人間性もこの時から始まります。

第一期の習い事(趣味)です。これは本人にとって最も将来にかかわる信念・関心が出来る時期です。これも親の指導からのはじまりですが、エゴから来る場合もあります。親が出来なかったこと、親が達成できなくて価値があると信じている事です。
物語から学ぶ内容です。
オランダの堤防の水もれから決壊を食い止めた物語、豊臣秀吉の親孝行等をメタファーとして学んだのですが、あまりに良いことばかりの話をしすぎた結果、子供は親に対して自分をよく見せようと親の顔色をうかがうようになるのも事実です。自分の好き嫌いを学び始めた時です。

第二期、初めて自分の習い事(趣味)が仕事に関連してくる場合もあります。これが本当に自分に合っているのかどうかは結果が出てもなかなか趣味か実益かが判らない時期です。
習い事の中には楽器(ピアノ、ヴァイオリン、フォルン、)声楽(クラッシック歌手)、身体能力が優れていると野球、サッカー、ラグビー、柔道、伝統・文化(剣道、踊り、焼き物、絵師)、収集などがあり、人よりも良く出来る、年齢の割にはうまい、モチベーションにより、上手ということばがあるとより一生懸命に練習に励むようになるのです。それ以外のことを知っているわけではなく、たまたま練習したことが他人よりも上手くでき、それが将来のプロという願望・夢になるのです。

第三期、成熟期です。別の仕事と自分の趣味が両立する時です。こうなると趣味と実益のレッテルが張られます。自分でやりたいことと実益が重なった時です。
弁護士、会計士、医者、踊り、歌手、役者、囲碁、落語家、アナウンサー、いくら考えても数えきれない自分の得意とするもの全てです。

ここで陥りやすいのが自分のエゴとの軋轢です。
この年代は本来ならばチャレンジすることを学ぶ、今までやった事がないことに魅力を感じる時です。それが趣味と呼ぶか仕事と呼ぶかはその人が一生楽しめるかどうかです。それは単に呼び名の違いあるいは定義の違いだけかもしれません。
仕事はその中から自分がプロとしての使い方が出来るまで発達させることが出来るかどうかだけです
アメリカに渡った昔の日本人がガーデナーや農業者として成功していますが、これらは本来自分の得意領域ではなかったかもしれません。コック、学校の先生然りです。必要に迫られて始めたことです。

第四期です。趣味が高じて自分の自己実現のための究極の姿に入ります。逆にこの時期には趣味ではなくなり単なる時間つぶしになっている人も多くいます。
また仕方なく趣味でもないものを自分の価値観と重ね合わせて行動している場合があります。
博物館、美術館の絵の鑑賞、習字、ダンス、旅行、読書、映画鑑賞、散歩など人生の時間潰しが始まる時期です。時にはライセンス・認定書をもらうために一生懸命勉強するのです。それが将来特別なご利益があるかのように心の価値観を生み出しているのです。
体力も衰え、思考もゆっくりとなったのでそれらに合わせられるキャリアの一つ、または趣味になったのです。

趣味とは、余暇を楽しむことですので、趣味と実益が同期しているのが人生にとって一番なのです。

頭が鈍くならないように/良くなるようにマージャン、囲碁、チェスをする
体力が落ちないように、ジムに通う、毎日の散歩、山歩き、マラソン、
豊かな情緒になるように、絵の鑑賞、音楽の練習、読書、海外旅行、庭いじり
倫理やマナーとして、お稽古事
女性のたしなみとして、マナー教室、踊り、お茶,活け花、
男性の生まれた時からの感性としてのスポーツ
将来にはその趣味が人生の友となるような内容のものを探してください。
将来自分がプロとして活躍できるもの、囲碁、ゴルフ、テニス、ガーデニング等多くあります。

そのほとんどが子供自身ではなく最初は親が決めているのです。
親が価値があると認める多くの選択肢の中で子供ははじめのうちは選択肢がなく進んで行くのです。
逆にこの時期子供が将来どんなことを自分の趣味にしようなどと考える事も出来るはずがないのです。何が世の中にあるかまだ知らないのです。

人間は環境によって発達していきます。
親が元バレリーナ、元野球選手、スケーター、技術者、自家経営者の場合は後継者として、又は親がそれを望んでいるから、自分の栄誉を継がせたい、自分が果たせなかった夢をかなえてもらいたい。事業でも同じです。

アメリカでは成功者の本がよく読まれます。アメリカンドリームに成功した人達です。苦しい中から立ち上がった人がほとんどです。みなすばらしい物語です。

でも本当に子供のころからそのようなことを夢見て育ってきたのでしょうか。
生まれた時はどんな子供でも皆同じ環境です。それは頭の中には未来像や自分の考えがまだないのでそういう意味では同じです。こういうのをNatured というのです。

このブログで何度もお話ししましたが、趣味から自分を見つける事が自分の未来の価値観でしたが、今ではそれらの趣味はもう考えられるところまで発達してしまい、ちょっとした趣味を未来の自分のプロとしての価値観に持って行くのが非常に難しくなりました。それどころか自分の趣味とは、を良く考えないと人生を狂わせることにもなり得ないのです。

グローバルの環境になり広範囲な領域まで人は踏み込んだために気ままな人生とは違った未知の世界になったのです。
例えば趣味のパソコンいじりが自分の将来の糧になるなんてことを親は子供に教えていなかったことです。本人もその環境でオタクと言われながら誰からも未来への価値観を教えてもらっていません。自然にパラダイム、環境の中で成長していくのです。

これ等の趣味と実益を考えると何が未来の環境になるかはこの先10年くらいまでは想像できてもそれ以上は非常に難しいです。
そのための要素技術を磨くことも簡単ではありません。

2000年頃からはバイオが盛んに叫ばれました。エコロジーです。
今は自然環境が世界の人々にとって大切であると後進国の人さえも考えています。
娯楽的な漫画、動画、ゲーム等が世界中を席巻し、パラダイムを変えようとしているとはその初めのころは誰が思ったことでしょう。

では昔からあった趣味、演劇、歌舞伎、武道、ガーデニングはなくなってきたのでしょうか。逆にそれらに愛着を感じて夢中になって来てもいるのです。
スローライフ然りです。

もう一度趣味と人生、人生と価値観を皆で考えてみましょう。
これらを真剣に考える長寿時代に入ったのです。皆さんは150歳まで生きるようになった。今でこそ平均寿命は88歳と言っていますが、細胞的には400歳まで生きると新聞記事にあります。(日経新聞12月2日)

いかに趣味が大切なことか、趣味の価値を根本から考え直して、これから先の人生のためにあるべき価値を探しましょう。皆さんはまだ人生の駆け出しです。

マインドフルネス・Mindfulness コーチングです。


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