1月第2週号 トップリーダーの孤独・全体が見えない苦悩

#98 Structured Genuine Coaching 全体がわかるコーチング

孤独に耐え、未来を想像できるリーダーの育成。


トップリーダーは本当に孤独です。周囲から何を言われようと全ての責任を負って皆をまとめて未来に向かって経営をするのです。そして常にScratch・ゼロからスタートできるように全体と部分の分かれ目を理解しておくのがエグゼクティブの本質なのです。Globalに新しいゴールを目指して常に挑戦し続けることができる未来リーダーの育成の時です。自分の人生と行動の全体のプロセス構造(Structure)がわかる人材の育成です。
( Structured Genuine Coaching 全体がわかるコーチング )

経営幹部リーダーが絶対的な孤独を感じるときがあります。


一つは自分一人で会社をスタートさせる時です(Entrepreneur)。
希望に満ちた未来を夢見ながら右も左もそしてその先のこともわからないでスタートをするときです。社員を雇う前の本当の自分を見つめて責任を背負う決断をするときです。
もう一つは定年退職したときです。仕事から解放されこれで自由になれる、さてこれから残りの人生30年をどのように過ごそうかというときの希望と、今この時本当に自分だけであるという孤独感です。社長の場合は会社を清算するときです。

この二つをそれぞれ別の言葉で表すと、1つ目は未来に対する挑戦に全責任を負うことの孤独感、2つ目は自分で考え、実行し、失敗を恐れず未来に向かってまだ何もないところに挑戦する勇気です。

皆さんは人生ですでに何度か仕事・キャリアの変容・変革Transit・Transformationをしてきています。成人になってから大きなキャリア変更をしてきた方は実感があると思います(Career Development)。この場合の変容とは、同じような職業ではないことを言います。同じ職業での変更は転職ではなく転場、同じ業界で会社をシフト・変わることです。

皆さんはこの先、今までの仕事内容の延長ではもう良いポジションを得ることができなくなるのです。そして何十年も同じことをしていると自然に飽きが来ますし、もっと効率よく仕事ができる後輩がどんどんと現れるでしょう。ですからCompetence・コンピテンスの変容をしなければなりません。
コンピテンスの変容とはたとえば工場生産ラインで働いていた人が自動車の営業マンになる、ブルーカラーの肉体的な仕事からホワイトカラーのデスクで思考を駆使する仕事への転職です。あるいはマネージメントする立場になったり会計・経理の専門からセミナーの専門職や営業職に就く、これらを転職というのです。

学問によって知識を覚える/知識を増やす学生時代を卒業し、自分でお金を稼ぐ企業人への変容Transformationです。これは孤独というよりも社会という人間関係Domainへの参入です。夢と希望と自信を持って自分という人生の運(Goal)を求めて社会人として一人前になるための旅Journeyに出るのです。

1)最初のキャリアTransformation は全くドメインの違う企業への転職から始まります。


理想的には大企業⇒小企業⇒中企業⇒独立です。大企業では全体は見えなかったけれどもプロセスはきちんと把握できます。。

2)次の最大の変容期は定年退職です。今までの企業人から、全くの個人になるのです。


この先は自分で残りの人生をどのように生きるかという思考から始まります。理想的 には自分の会社を持つことです、ベンチャービジネスを起業Entrepreneurすることです。この場合は経営全体をきちんと把握するための孤独です。誰も自分の気持ちはわかりません。すべての責任はこれから自分にかかってくることさえまだ感じない孤独感です。

最大の難関はこの変容Transformです。

今までの人間関係からの孤立が理解が出来るようになるにはどうしたら良いかです。
今は平均寿命88歳といわれています。さらに細胞的には400歳まで生きることが可能だとの学会の発表もあります。これからは150歳まで生きる人がいても不思議ではありません。そうなると平均年齢100歳というのが当たり前になります。

その中で自分の人生の幸せを考えるときに65歳の人は残りの35年間をどのように過ごせばよいでしょうか。これが現在50歳代の人の未来の人生観です。最後の5年間は赤ん坊のようになるとしても35年間目的もゴールもなくて人生を孤独に過ごすことはできません。このようになることが予めわかっている皆さんは自分がどのように有意義に生きるかの目的を持って日々を過ごしていくことが必要なのです。自分にとって本当に重要なことは目的探しです。新しい旅の始まりです。

孤独からの脱却が必要な60歳代

定年退職をしてから初めての本格的な変容です。定年後は全てが自分の人生を自分で好きなように過ごしてよい時間・空間です。でも現実はこれから何をしたら良いのかが自覚できるようになるにはさらに時間がかかり、定年後5年経ってから漸くわかるようになります。

定年退職後は、今まで40年間会社のために一生懸命働いてきたのだからここで一息、さあ自由だ、これからは本当に人生を楽しもうという人が大勢います。本当の喜びは定年退職した直後だけです。これは男女同じです。

この方たちが最初に感じるのがさてこれから自分はどのように生きていけばよいのかということです。厚生年金は出ますし、退職金ももらったのですから今のところは何も不自由をしていません。企業人・仕事人間ではなくこれからは本当に自分の好きなことが自由に出来るのです。では好きなこととはなんでしょうか。退職金を十分にもらえない人はどうすればよいのでしょうか。

学生は30歳を過ぎるまではまだ未来があるので好きなことをどんどんとすればよいのです。責任がないので親のすねをかじりながら好きなことに挑戦できたのです。
企業人・仕事人間になった後は会社のため、家庭のためにお金を稼がないといけない。そのための仕事・ゴールはいっぱいあるし、毎日起きて今日は何をしなければいけないかという課題が山ほどあるので毎日をあれもこれもと忙しく過ごしてきました。

今65歳。これからの平均寿命が100歳とすると最低30年間は何か目的と目標を持っていないと頭も筋肉もどんどんと衰えてしまいます。

これからは人助けを、といってもボランティアでもそんなに簡単には仕事はありません。あなたが何が出来るのかが明確になっていないのです。60歳代になったら日本人は若い人たちを育成するのです。
新しいリーダーを育てる時代です。今までの会社の仕事人間はその間にそのような習慣がなかったのです。
会社の歯車として、同じ会社でずーと仕事をしてきた仲間たちとこれからどのようにすればよいのだと話しても無料奉仕でさえも人手が余っているのです。かといって3K(きつい、きたない、気持ち悪い)は嫌なのです。これが日本人社会だけの文化なのです。どうしたら良いかは今まであまり考えさせられなかったのです。また平均寿命も100歳近くまで生きるなどとは考えてもいなかったのです。やっと今会社に残っているリーダーに対してどこへ行っても使える人材になるべく個人の尊重と未来へのグローバルリーダーの育成を始めたのです。

1)日本の企業が人材育成と教養を学ぶことにもっと投資するようにならないと見えない能力、未来の会社を発展させるための重要なコンピタンスにはならないのですが、会社は甘くありません。


衰えを見せるような人にはこれ以上投資をしないでしょう。常に挑戦的で創造性のある人、健康で誰からも尊敬されるような自信がある人に投資をするでしょう。現在の日本企業はまだその程度です。ではあなたの時代にはどのように高齢者を扱い、再投資しますか。まずはあなた自身が奮起して新しい未来を開かなければなりません。そしてそれを証明するのです。また新しい会社を立ち上げるのです。それらがこれから必要になるマインドタフネスです。自分の意志を強くする欧米の個人主義ではないですが、未来を見据えた人生のための勉強をするのです。

2)このままでは日本は海外のグローバルリーダーにはとても追いつかないのが現況です。


欧米は個人主義だと言って日本がチーム力でリードをしている間に、個人が強くなる訓練、教育を怠りなくやってきました。結果として個人のリーダーシップが強くなり、一人で孤立しても自由に活躍できるようになってきたのです。

日本もチームが強いといってもやはり、リーダーは孤独に耐えながら突き進んでいかなければなりません。リーダーシップでは本当に欧米に後れを取っているのです。その結果が現在になってノーといえない日本人、海外から10年以上遅れているリーダーとなっているのです。チーム力といえばみな同じ力を発揮することが求められ個人の創造性よりも工業化社会に適したチームになっているのです。グローバル企業においてもほとんどが欧米そして中国、インドに追いつかれ追い越されているのです。特にSoftware 情報産業においてはその全体構築とシステミックな視野において全く挑戦すらできなくなってしまいました。一部のリーダーは日本から脱出して欧米で、またはシナジー的に活躍しているのです。

自分がやらなければ先はないという感覚・Mindを持つことがtransformationです。そのグローバルでの感覚の自覚は、初めて自分が孤独になってから芽生え、植えつけられるのです。そしてその後何十年もそのままにされている間に奇跡的なことが起こっているのです。これから初めて新しいことへの挑戦が始まるのです。

危機から脱するには、時間内にするためにはどうしたらよいかを考える、何もないところに自分を置く、孤独に耐えることを学ばなくてはなりません。

この65歳からを有意義に過ごすには、50歳代の時に、ちょうど人生の折り返し点において自分が本当に求めているもの、自分が一生涯できることを身につけておかないと会社のための仕事人間だけでは未来を見据えることが出来ないことを考えなければなりません。

新しい年になって皆さんを奮起させることは何かということを真剣に考えました。日本人は本当に何も問題がない快適Comfortableな環境の中に住んでいるのです。政府でさえも皆さんの為に多くの税金を使ってくれて暮れていますが、それらは未来の人生を孤独にするばかりです。

50歳代の折り返し点になったら是非ともEntrepreneur起業できるくらいの自分のコンピタンス(エネルギー・力)や何かに必ず挑戦して考えてください。そのための思考力を身につけるのです。そして60歳代以上になった時に自分が一人になって会社から見放されても何かできるものを持つためのヒント・気づきを考えてください。これからは定年も70歳になるでしょう。いくつになっても希望と情熱を絶やさず持つ人生を生きるのです。
そのための能力と資質を磨くことが必要です。50歳代はまだ人生の半ばです。これからが本当の幸せとは何かを追及する年代です。会社を変わるのは当たり前の欧米人のHunter 狩人になってください。自分で獲物を追いかけることが出来るようになることです。と言って利己主義や過度の自尊心を持てと言っているのではありません。社会に貢献でき、未来を託されている50歳以前の経験が道半ばの人たちを助けるためにです。そのために50歳代というのが自分にとっての新しい出発点なのです。

人は75歳になっても若くいることが出来ます。これからは80歳を過ぎても若くいることが出来る時代になります。
いくら年をとっても気持ちが若ければいつも生き生きとしており、いくら健康でも気持ちが若くなければすぐに年老いてしまいます。

70年前にアメリカの詩人、サムエル・ウルマンが作った詩にYouth(青春)というのがあります。
青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた創造力、炎ゆる情熱、安易を振り捨てる冒険心,こういう様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。


この激動する世界の危機の中で日本人が託されているのは未来をしょって立つ成人、リーダーを育成することです。それらを遂行できる皆さん、コーチになってください。

杉井要一郎 72歳


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