2月第2週号 もうこれからは定年はない時代です。 (その1)第3の人生のキャリアを考えていますか? 自分に定年がないとしたら。 これは現実に起こっている日本の状況です。

#104_人生のキャリア・デベロップメント・コーチング

誰が人生に定年をこしらえたのでしょうか。あなたは疑問に思いませんか。これから定年という言葉は、人生の第3のキャリアデベロップメントに置き換えられることになるでしょう。本当にそんな言葉が必要だと思いますか。

人生のキャリア・デベロップメント・コーチング

お願いです、

老後の過ごし方や第二の人生などの本に書いてあることや、人から言われたことを鵜呑みにするようなことは絶対にしないでください。


70歳、80歳の人で50代の人よりも脳が活発に働き、重要な決断、実行をする職務についている人がたくさんいます。多少の肉体の衰えはものともせずです。
それに比べて他人から(Extrinsic)言われて自分はもう人生の終着駅(Terminal)に向かっているかのような意識、考えやモチベーションの無さは自分にとって損ですから絶対にやめてください。

我々は、“年をとったら老人ホームに入り静かに余生を過ごす。”というのとは異なった人生のスタイルを選択できるのです。
もう定年という言葉を使うのはやめて、ある時期までに自分の最大の効果を出すことを考えましょう。

自分で働くことをやめるのならばまだしも、周囲から在りもしない法律で、あなたはもう定年ですと言われ、現役から退くことほど愚かな信念(Limited belief)はありません。


自分が定年と思った時がその人の定年です。
あなたが定年だと思わなければいつまでも現役です。
若さも保たれますし、精神(Mind)も生き生きとしているのです。


  • あなたは定年(Retirement)になるまでに、何を自分の生涯の宝(Core competence)として持っていたいですか?
  • そのために今何を始めようとしていますか?

Think, Decision, Action, 今すぐ自分が何をしようかということを考えないと、先延ばしProcrastinationになってしまいます。

自分が退職するまでに、3つの要素を持っていることが大切ですというお話しをします。まずは自分でその3つを考えてみて下さい。

これはよくある遺言(家族に残す言葉)とか、ライフタイム(自叙伝Biographyで特によかったこと、悪かったことを書く)ではありません。エグゼクティブコーチングではそんな心弱いことを言う暇もないのです。毎日がそれこそ戦争と同じくらいに緊張し、集中しているのです。

パラダイムの変革の真っただ中のこの現代社会では、エグゼクティブには定年を考える暇はないと思った方がよいでしょう。

休暇は別です。これは疲れた頭の神経を休め、もっと効率よく仕事が出来るようになるための絶対必要条件です。
休暇・休息を取らないととんでもないところでミスが出てしまうのです。
それは無理をしてストレスになったり、病気になることです。
休暇は肉体だけでなく、マインド・脳に休息を与え思考の整理をさせるのです。

家族と幸せな時間を如何に過ごすか、如何に健康で人生を過ごすかということも大切な価値観の一部ですので別途お話ししましょう。

3つの要素、心技体をバランス良く一つにさせるために、その一部がずれないようにするのが目的です。勉強ばかりしろと言っているのではありません。

皆さんは知識を吸収するために真剣に何度も繰り返し勉強されていることと思います。もちろん勉強は必要です。
何を勉強すればよいか、それは心技体が崩れないような勉強をするのです。


①一覚えたら、潜在意識の中に埋め込まれるように体に覚え込ませる勉強をするのです。古い知識、能力を捨ててあたらしいPotentialのある内容にシフトするのです。


定年後という言葉は、人生においては禁句になります。
これは軍隊や会社などの義務からの退役、退職とは違うのです。
定年がなくなり本当の自由になった時、その先100歳以上まで生きるあなたは何を持っていたいですか。
(実際の2015年での研究では細胞は500歳以上、寿命は既に150歳以上まで大丈夫との研究発表が出ています。)

これはあなたが一生幸せに過ごすための大切な法則です。
自分にとって不幸せとはどんなことですか。

②この先あなたが本当に持っていたいものとは


既にあなたは物質的には何でも持っていらっしゃると思います。あなたに足りないものは何ですか。3つ重要なものからあげてください。重要というものの定義はものすごく広いので、“もの”や“こと”だけではなく思考も入るのです。

  • ないと思え、あなたの未来の保障。
  • ないと思え、あなたの定年
  • ないと思え、過去の栄光

  • グローバルとは何か
  • 世界基準とは何か
  • 人生の幸せとは
  • 富と栄光と繁栄は永遠に追及するもの

あなたは仕事以外に何に興味を持っていますか。
今興味のあるものでも何がそれに代わろうとしていますか。

③自分の為になる会社とは


今どんなことを考えていますか
未来しかない人生で過去に戻れないとしたら何になりたいですか。
自分の為にならない会社とは。
自分の理想としている会社がどんどんと新しく変わっていくとしたら、あなた自身はどのように変わりたいと思っていますか。

  • あなたは一生 技術者(Expert/ Specialist)ですか。
  • あなたは一生 ゼネラリストですか。
  • あなたは一生 その中間ですか。どんな資質を持ち続けますか

  • あなたはプロフェッショナルですか
  • あなたはアマチュアですか
  • それは趣味ですか、稼業ですか

あなたは目に見えるものが幸せの一部だと思っていますか。
それとも目に見えないものが大切な一部だと思っていますか。

本当に大切なものは永久に消えないものです。
いつまでたってもつかむことが出来ないものかも知れません。
年をとればとるほどどんどんと大きくなっていくかもしれません。

良いものはいつまでたっても消えることがありません。
良いものとはどんなことを言いますか
それは物であれ、考え方であれ、本質的なものであることが大切なのです。

あなたにとって永遠に必要なものとは、そして、もしそれが手に入ったならばあなたの気持ちはどんなふうになりますか。

1.  あなたの情熱という心です:Passion


2.  あなたの仕事に対する目的です:Purpose


3.  あなたが持ち続けている自分の変化する価値観です:Value



1.    情熱とは自分の中に湧きだす心からの素晴らしい気持ちの上昇なのです。


自分にしかわからない精神力で、他人からはその度合いを測ることができません。
それらは強い自分の意志を含んでいるので他人にはわからないのですが、あの人はなんとなくオーラが出ているというような表現でわかっていただけると思います。
メンタル・精神力・気力・意志・集中力のことです。
自分のメンタルが強くないと感情に押し流されてしまいます。もちろん論理性も思考の中にからめていきます。


2.     齢をとればとるほど目的が大きくなっていきます。小さな目的はもう必要がなくなってくるのでターゲットではなく、目的は抽象的になってきます。その目的に向けてカスケード(数珠つなぎ式)状にゴールを設定していきます。


それ自体が明確なゴールではなくそのゴールの下に隠れた小さなゴールが詳細を持っていくつもぶら下がっているのです。自分でもそれ自体が見えるわけではないのです。
齢を取ってくると、それらのゴールは欲ではなく人生の生きがいになっていきます。生死を考えることのない未来への目的を持った大きな幸せ、プロセスなのです。

3.     価値観も同じです。齢を重ねるごとにその価値観は物理的なものではなく、目に見えないものに膨れていきます。自分の価値観とは人に与える技術かもしれませんし、ノウハウを含んだ資質かもしれません。若い人に如何に人生を幸せに過ごすかという本質的なことを考えさせる訓練かもしれません。価値観の多面性を考えさせるのです。価値観は自分の思考の範囲でいくらでもアメーバのように増殖していきます。そして目に見えない抽象的な拡張性を持っているのです。


心・技・体、これはスポーツでよく使う三位一体の言葉です。

心。メンタルの強さがなければなりません。心が柔だとどんなに技術(skill)があっても競技試合には勝つことができないのです。ここぞというときの強さ、火事場の馬鹿力が出るのはその時のゾーンにギヤーが入るときです。常に強く、勝つ、ここがチャンスというダイナミックな精神力からその状態を維持するフローを作り出し、そのフローの延長にゾーンがあり、そのゾーンの集中している中でスーパーゾーンに心のギヤーを入れるのです。これらはメンタルタフネスを超えた強靭な心の持ち主だけが出来ることです。

技術。これももちろん大切です。どんなに強い意志、身体を持っていてもその使い方、方法を知らなければ試合に勝つことはできないのです。この技術をマスターするためにコーチ、トレーナーを雇うのです。成功の80%は技術の習得のための努力であると思ってください。

体(肉体)。これはまず心身が健康であること、そのために体の筋肉、そのスポーツにあった基礎的な体つくりによって特別な体を作るのです、そしてその健康的な肉体で技術を磨くのです。体を鍛えるということは単に肉体の健康だけでなく、心の健康をもいうのです。病気になった時には速やかに治療をしなければなりません。
人間は本質的な考え方をまず習得し、その考え方に身をゆだねて一心不乱に技術を追求するのです。

このスポーツの心技体の考えはそのままリーダーにあてはまります。
エグゼクティブでも、自由業の人でも、心技体が衰えない限りいつまでも今までの仕事を継続することができ、仕事に一番生きがいを感じるのです。
心技体を維持する限りにおいてはあなたは定年を迎えることはありません。

心技体が維持できなくなったとき、年齢ではなく気持ちがなえたときに初めて自分でスピードを落として、情熱を冷ましていくのです。
発達段階的にこれらが成長してきたのと同じテンポでスピードを落としていければよいのです。

ここまででおわかりのように、従来の定年という言葉はもうこの世にはないのです。すべて発想からくる言葉、定義であって、将来においては変化するかもしれません。

あなたの心の中に常に探究心がある限り、心の豊かな目的を持った人生を送ることができるのです。

私はまだ定年のことを考えていません。
定年までにするべきことの目的の方がどんどんと増えていくからです。

あなたはこれからどんなことをしたいですか。もししたいことができるようになったならばどんな気持ちになりますか。

杉井要一郎 / 2016年2月第2週号 © All rights Reserved by Gledis Inc.

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