6月第2週号 トランスフォーメーション(Transformation)変容とは

#122 変容・エグゼクティブコーチング

Change(変化)とTransformation(変容)の違い、

Shift(移す)とTransformation (変容)の違い、

これがわかればあなたは時代の荒波、急激な変化を乗り越えることが出きます。


既にお気づきのように西暦2000年以降の私たちの生活は過去の延長上にはありません。

ほんの10年前に新しいビジネス現象(Phenomenon)となったことが現在いくつ継続して残っていますか。 5年前に最もポピュラーであったビジネスで今何が残っていますか30年前にあったことは10年以上も継続していたのですが、最近ではそれと同じ内容の変化が5年で起きているのです
それはITのお陰です。バイオ研究が進んだのも、医学が進んだのも人間の寿命が延びたのも何らかの形でITが影響を与えているのです。それはアナログの思考信号からデジタルの思考信号(0、1)に変わったからです。

ところが人間の思考はこう簡単には変わるものではありません。脳を大きく3つに分けると、600万年前の爬虫類の脳(Reptilian Brain)と呼ばれている部分、300万年前の情動を司る辺縁系(Limbic Brain)と呼ばれている部分、100万年前の新皮質(NEO Cortex)と呼ばれる部分があります。このうち爬虫類の脳は本能(Instinctive=食べる、戦う、生殖する、逃げる)を、辺縁系は感情(emotion=ロマンス、怒り、幸せ、驚き等)を、そして新皮質は知性・知恵(Intellectual=長期メモリー、未来の計画、シナリオ作成、資質系の知恵)をそれぞれ司り、人間のすべての思考はこれれらがハイブリッドして働いているのです。

過去の延長上には未来はないと言っていますが、昔からある脳の機能を駆使して未来を想像し、物事を変容していかなければ生きてはいけないのです。これらの3つの脳が素晴らしい働きをするためにエグゼクティブコーチは何をすればよいのかを知らなければなりません。どのようにすればよいかだけでよいのです。それ以上は知らなくても教えてくれる人/スーパーヴァイザー的なトレーナーがいるからです。

皆様はさなぎが蝶になっていく姿を感激して見ませんでしたか。でも残念なことに、この蝶はもう一度変容してしまうとさなぎには戻れないのです。

この不可逆の変化をトランスフォーメーション(変容)と言います。

出来ないと思っていたけれど気持ちの切り替えができたとたんに自分はできるという気持ちを持つように変容し、それからは何でもできるようになるという現象があります。
否定的な信念を持っていた様々なことがマインドを変えることにより、気持ちが変わって肯定思考になり、自分に肯定的な暗示をかけられるようになっているのです。
これに似たのが今いるところから別のところに行くことができるという変化で、これはシフト(Shift)です。トランスフォーメーションは一度変容すると元のところに戻れなくなるのですが、シフトは戻ることが出来るのです。
不可逆(Irreversible)なのです。もとに戻ることができないのです。

マインドが完全に新しい思考に代わっているからです。

丁度さなぎが蝶になり、ヤゴがトンボになるようにです。
できない(Impossible)と思っていた潜在意識内のことが出来る(Possible)モードに変わったとき、これが変容状態(Transformation)になったときのことです。

この言葉は、コーチングではよく使われます。人がドンドンと良くなるようにコーチはサポートします。基本的にはPerformance がよくなったり、目的地に到達する(Achieve)ためにサポートするのですが、このような変容(Transformation)(例:潜在意識の変容)を起こすためのコーチングです。

一種の肯定マインドになることにより、今までの否定的な思考から抜け出すことを脳の働きがさせるのです。

例えばゴールが決まると「ビジュアライゼーションやアファーメーションをしてください。」と言う事があります。これはまだゴールへの気持ちが固まっておらずコミットしていても元に戻ってしまうのを防ぐためです。

チェンジ(Change=取り換える、変更する)もいろいろな時に使われます。
しかしチェンジは変わったり、取り換えるのだけれどもまた元に戻すことができるのです。変容との違いがお分かりですか。可逆変化です。
交換(Change)と(Shift)等はその後もまた昔の内容に戻ることができるのです。

変容とは一度変わったことは元に戻れない内容なのです。ビジョン、理念に通じるものがあるのです。これらは戦術ではなくもっと上位の変容なのです。
そのようになることの思考を持つことがトップエグゼクティブの人たちの大切な要素なのです。

Executive coachingにおいては大切な決断をするために多くの思考をします。その際にはこの3つの脳の働きが正常でなければなりません。少しでも異常な部分があると忘れっぽくなったり、判断するための整理において異変が起こるのです。
コーチはこれらを理解していろいろな思考法をマスターするのです、もちろんそれがコーチの絶対条件ではありません。そのようなことがあることを知っていて、今の目の前のエグゼクティブの脳の働き状態を知ることにより、現在の状態(State)でその人がどのようにして思考しているかを第三者的に観察するのです。

そのようなサポートをすることにより、本人が最も良い状態に持っていってあげるのです。

又の機会にもう少し易しく例を挙げてお話しします。皆さんが早いうちにトランスフォーメーションをマスターできることを期待します。

杉井要一郎 / 2016年6月第2週号 © All rights Reserved by Gledis Inc.

コメント