4月第3週号 「常識はこんなにも非常識」 一流の常識と二流の常識との違い、社会的に一流と二流は何が違うのか。

#166 common sense

ここでは文化と慣習を考えましょう。そして一流のマナーとエチケットを身につけましょう。


この常識の違いを知ると恐ろしくなります。今の世の中で何を常識としたら良いのかをお話ししましょう。
契約でさえもちがうのです。Consensus, MOU, LOU,Verbal contract, trust enough, agreement, contract...

個人にとっての習慣、振る舞い、文化はその人の属性です。
下記の属性の中であなたはどの属性、部類に入っていますか。
これらのマトリックスで自分を振り返ってみてください。

  • 若者の常識 / 自由闊達、オープン、無礼講
  • シニアの常識 / 礼儀を重んじる、これからが人生
  • 日本人の常識 / おもてなし、年長者を敬う、他人に親切、おべっかを使わない、礼節を重んじる
  • 中国人の常識
  • イギリス人の常識
  • アメリカ人の常識
  • 西洋人の常識 / 自分優先、個人主義、誰にでも話しかける、人を脅す
  • 発達途上国の常識 / 前向きに挑戦、何でもトライする
  • IPO前の常識 / 全てを整理する、利益を出す、
  • IPO直後の常識 / 売り上げを上げる、利益を出す、私は上場している
  • 歴史のある会社の常識 / ガバナンスを重んじる、倫理観がある、株主への還元
  • 倫理観 / 嘘をついてまで成功を求めない、他人を傷つけない、

しかし、常識も時代とともに変化するのです。

3月末にモスクワに行きました。その日はチャイコフスキーConservatory記念ホールでの4日間のチャイコフスキー記念コンサートの中日でした。WEBで3枚しか残っていなかったチケットを何とか手に入れ7:30PMからの開演に備えて6時から食事をして7時前にホールに入りました。150年前に建てられた石階段造りの5階建ての重厚な建物です。ホールエレベーターがないため各階ごとに休憩所があります。すでにホールは満員です。2階の大統領が座るバルコニー席もVIPですでに埋まっていました。
演奏はワシントン交響楽団です。
最初の曲が終わり、遅れて来た方たちのために少しの間できた途端、会場がざわーとし、後ろの方にいたほとんどの人が前の方の空いている席を見つけて移動しているのです。前にいる人はもっと前に行こうとしているのでものすごい移動です。
私は最後のほうでやっと手に入れたチケットでしたので、一番後ろの席でした。そこに黙って座っていると、もう周りは誰もいません。
後で一緒に行った人からなぜ前の方に行かないのと聞かれて、私にはそのような習慣がないからと答えました。

その翌日、ボリショイ劇場のバレー公演に行きました。Jewry (宝石)というエメラルド、ルビー、ダイヤモンドなどの宝石をテーマにした大作です、劇場はほぼ満員です。ほとんどの人がきちんとした服装で、ブラックタイの人もいました。日本よりもはるかにRitual, プロトコールがきちんとしています。 
最初の曲が終わったあとにここでも前の方に移る人が2~3人いました。でもその人たちは連れ戻されました。

一部上場の大企業、中小企業、Venture 企業、個人営業それぞれの常識の違いは何でしょう。常識としての話です。

大きな会社に入ると組織人として、いろいろな人たちと上手くやらなければならないので、倫理、ポリシー、ビジョン等が非常に重んじられます。新人はまず大企業に入ってマナー、倫理を学べと言います。  
経営の上では、上が決めたことを下の人が実行して結果を出さなければなりません。事業部から部門へ、部門から課へ、課から課員へと仕事は流れてきますので、上下の規律、マナー、エチケットがプロセスとして出来ており、会話、礼儀、作法がきちんとできているのです。
また会社全体を見るよりも自分の部や課を大切にします。会社全体を見ることは到底できないからです。自分の上司は課長や部長であって役員とは直接話すことは少ないのです。

中小の会社で育ったリーダーは大きなグループの経験がないので、組織や自分を中心に物事を考えていないので常識に関しても認識の幅が広く、マナーなどの社会的な関心が薄いのです。しかし全体を見ることが出来ます。大きな会社では学ばなかった全体のStructure, 構成、全体のプロセスが見えるのです。
小規模、それよりも個人の会社になると、常に自分が勝たなければやっていけないのと、自分にかかわるまたは影響を与える人には最敬礼をしますが、そうでない人に対しては自尊心が強く出て、時にはモラルも皆と同じでは仕事をやっていけないので、どうしても自己中心的になります。売り上げに必要、またはCompetenceに必要なところにはコストをかけますが、倫理、マナー等にはコストをかけず勉強もしていないのです。

特にスポーツは毎日が競争ですから、チームでは自分だけでなく皆とどのようにしてやっていけばよいかのモラル等があります。個人競技のスポーツをする人、芸術家、作家、ダンサー、ジャズプレーヤー、音楽家などは全く社会慣れをしていないのです。スキルはものすごく高く、想像力、芸術に対する才能は天才でも、普段の社会人としての付き合いが少ないので、常識に関しては全くなっていない人が多くいます。特に無宗教の最近の日本人にとってこれらは致命的です。普段いろいろな宗教で集会、教会に行っている人たち、お寺に集まっている仏教徒たちは皆で協調し、如何に幸福になるかの話をしているのですが、そうでない人は個人の裁量が全てになります。

また義務教育の学校の先生は別として、先生と呼ばれている人に何か問題があっても周りの人が注意出来ない状況では、先生にとっては他人からのアドヴァイスがもらえず損しています。今の自分が人生のどのあたりにいるのかをこの際しっかりチェックしてください。または他の人に聞いてみましょう。
遅刻を平気でする、早く帰る、休みが多い、時間通り始まらないでだらだらしている、食事中でも平気でSMARTPHONEをみる、自分のイベントを他の人のイベントの最中でも宣伝する。社長の悪い癖をこれらの人が体現しているようなものです。

ある程度有名になって自分が周囲の環境に気がつくようになれば良いですが、中途半端で人からうらやましがられている人は特に注意が必要です。このような人はマナーでもたくさんの違反をしています。

有名人の一歩手前の人で、ある程度皆さんからちやほやされている人も注意が必要です。人の上に立つ人は、尊敬されるようなBehaviorだけでなく、マナー、知識、能力、常識にも反していることが多く、勉強しなければなりません。
また弁護士、コンサルタント、士と付く人も同じです。周りから注意をされない人ですね。

威張っている人が大勢いるのも本人だけでなく周りがそうさせているのです。もちろん法廷で戦う人ですから、キチンと出来なければなりませんがそれは職業からきているのです。

でもこのような人たちは一生懸命勉強をして、上に出ないと誰も雇ってくれないこともあるので、自分の専門に関しては頭が良く、人前では威張ることを技としている場合もあります。

すべてはOut comeが出せる人に依るのです。

医師の場合も皆さん非常に素晴らしい人が多く、そして自分の病気を治してくれるので大切にします。
でも歯の治療をしに内科にはいきません。
コーチングを依頼するのにコンサルタントに行くのは全くお門違いです。自分の知っていること以外何もないのです。あとはクライアント任せです。

目線が常にクライアントと同じところにいなければいけません。これはコーチの掟です。

皆さんはどうですか。

杉井要一郎 / 2017年4月第3週号 © 2017 Gledis Inc. All rights Reserved.

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