2018年2月11日 心の木

#197

あなたはどんな時にも常に自分を支える言葉を持っていますか。しっかりと自分自身を支え、他の人にも与えることのできる言葉を「心の木」と名付けましょう。


苦しい時、楽しい時、悲しい時、どのような時にも自分を支える言葉、自分の心をしっかりと支えるように地中にしっかりと根を張り、太い幹で葉が多く茂る心の木です。    

人間は弱いものです。自分のマインド、感情によって心が左右され、たとえば心がめげて前に進むことが出来なくなったり、ひどくなると行動ができなくなります。最悪の場合病気にもなります。

台風や竜巻が起き、右往左往して逃げ惑うようなときにとっさにどうしたら良いのかわかるようにするのです。
もしあなたが自分の心を支える言葉を持っていればどんな時にも平常心でいられるのです。病気になっても回復が早く、自分に関係ある人たちに勇気と希望さえも与えるのです。
強いリーダーで、多くの成功をもたらすのもこのような人たちです。

ではどのような心の木を持てばよいのでしょうか。
幹が太く根が地中の栄養分を十分に吸い取れるように張り巡らされ、幹からは多くの枝が張り出て、その小枝の先にたくさんの花をつけ、年々成長する木です。
心を支える木はどこで作られるのでしょうか。
そうです大脳です。

皆さんの経験、成功でも失敗でも自分の経験から来た思考が自分の頭の中にある大脳に神経細胞を通して貯められるのです。それらニューロンが神経細胞であるシナプスを通してその先にあるシナプス小胞から他の受容体に伝わり、喜び、悲しみ、問題、課題になるのです。これらの衝突(コリジョン)を起こすことにより、人間は更に高度な問題を解決できるようになったり、困難を超えることが出来るように成長していくのです。

そのために人は自分の言葉を持っています。
ある人は今自分の抱えている問題はだれでも持っているものなので必ず解決できる。という強い意志の言葉を持っています。
私が抱えている課題は大きな問題のほんの一部なのだ、このような寂しさは時間とともに消えていく、新しい挑戦が出来る喜びなのだ、と。

これらは死の悲しみの中でもよく言われます。人は誰でも必ず死ぬのだから悲しむことはないと。詩を間近に控えて本当に強い言葉を自分の体全体で感じる人は良いのですが、そうでない人は悲しみ苦しみの中で亡くなっていくのです。そのような場合は一番面倒を見てくれた人にさえも強く当たることがあります。ですから強い自分の心の木を持ちましょう。

私はアメリカの詩人のサミュエル・ウルマンの「青春Youth」が大好きです。いろいろな人に薦めています。エグゼクティブの中には自分の座右の銘にしている方が多い詩です。聖書にも似たような表現があり、哲学でもあり、また誰にでも口ずさむことが出来る詩です。
"Youth is not a time of life; it is a state of mind"(青春とは人生のある期間を指すのでなく、心の持ち方を指すものである)

青春の詩 サミュエル・ウルマン作  岡田 義夫訳

青春とは人生のある期間をいうのではなく、
心の様相をいうのだ。

すぐれた創造力、たくましき意志、炎ゆる情熱
怯懦をしりぞける勇猛心、安易をふりすてる冒険心

こういう様相を青春というのだ。
年を重ねただけで人は老いない。

理想を失うときにはじめて老いがくる。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、狐疑や、不安、恐怖、失望、
こういうものこそ、あたかも長年月のごとく人を老いさせ、
精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。

年は七十であろうと十六であろうと、
その胸中に抱き得るものはなにか。
いわく驚異への愛慕心、空にきらめく星辰、
その輝きにも似たる事物や思想に対する欽仰、
事に処する剛毅な挑戦、小児のごとく求めてやまぬ探求心、
人生への歓喜と興味。

人は信念とともに若く、疑惑とともに老ゆる。
人は自信とともに若く、恐怖とともに老ゆる。
希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる。

大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、
そして偉力の霊感を受ける限り、人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までもおおいつくし、
皮肉の厚氷がこれを固くとざすに至れば、
この時にこそ人はまったくに老いて、
神の憐れみを乞うるほかはなくなる。

この詩は自分の心の木を育てなさいと歌っています。あなたもぜひ自分の心の木をもって下さい。

失敗を恐れない。失敗は成功のもとである。行動なき言葉は結果をもたらさない。急ぐことはない一歩一歩進もう。急がば回れ。
仕事のとき、人生を考えるとき、親しい人が亡くなったとき、いろいろな場面で自分を奮い立たせ、人にも良い影響を与える自分の言葉を作りましょう。     
キャリアとは終わりがあるものなのです。それを怖がっていては何もならないのです。ですから恐れることは何もなくなるのです。
それが経営者です。

また限られた時間であるからこそ、思いっきりその時間で何かを達成する勇気がわき、わき目も降らずに挑戦できるのです。
経営者が自然と身につけたマイルストーンです。登山家がいくつもの山を一つひとつ制覇していくのと同じです。そこに山があるからです。
今自分が成し遂げることが出来ることをやろうとしている多くの経営者、リーダーを毎日見ています。目が輝き、心が広く、自己実現を自分では意識をしないで行っている、他人から見たら神様のような人たちです。
そのような人を応援しましょう。
キャリアとは自他ともに人生の縮図です。

今から未来のキャリアを考えましょう。有意義で自己よりも他己に降りかかるようなキャリアこそが価値があるのです。

杉井要一郎 / 2018年2月11日号 © 2014-2018 Gledis Inc.

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