2018年2月4日 キャリア開発の可視化

#196

キャリア開発

  • 20代で考えていたこと             学生時代
  • 40代で習得しておくこと         熟年時代
  • 60歳から実行すること             第二の人生


今あなたはどの年代にいますか。すでに100歳になっており思考力が冴えている方に聞いてみるのが一番現実的ですね。でも自分たちがその年代になったときには全く別のパラダイムになっているのです。今から150年前、明治の初めに日本に蒸気機関車が導入されましたが、ほとんど船と荷馬車でものを運ぶ時代でした。

大学で6年間3、4年生の学生にキャリア開発の講義をしてきました。これからの人生、社会人、リーダーとしてのキャリアをどのように考えるかの講義です。完全な教師スタイルです。いろいろな本を読んだり、Videoを見たり、人に聞いたり、先生に聞けばわかることです。答えはもちろん一つではありませんが教師の指示に従って学ぶスタイルです。未来への最初の入り口です。

会社経営をされている40代の社長、リーダーにこれから何を習得しておかなければならないかをコーチしてきました。会社での義務と責任です。義務とは、未来のビジネスモデルです。これらができて初めて人生のキャリアを考えることができるのです。

エグゼクティブコーチングで多くの60代の社長、幹部にお話を聞きました。皆さんご自身の人生を理解しており、ほとんどすべてお見通しです。大体75~80歳くらいまでの全体像が見えているのです。そこまで到達した人が実際の見本になっているからです。過去に考えて考え抜いてここまできた人たちです。

これからさらに皆さんの寿命は延び、100歳以上の自分の人生を考えざるを得ないのです。100歳という未だ経験したことのない不安というよりも70歳で引退しようと思ったのができなくなったときの困惑です。おそらく120歳くらいまでのスパンで考えなければ100歳までの人生を楽しむことはできないでしょう。皆さんは今、ちょうど中間地点、折り返し地点に立って、新しい時代に勇気を持って挑戦をするのです。
この20年間だけでも、本当にいろいろな変革、パラダイムの変容があり、まさに驚きの時代でした。特にITリテラシーにおいては、スマートフォンができ、PCがタブレットに替わり、カメラがスマートフォンに吸収されてしまいました。フィンテックでは分散処理的なブロックチェーンが出現し、大金持ち(成功者)は産業界よりもIT業界の人たちやITを上手に使っている人たちに移り始めました。学校でも知識を教えることはAI/E-Learningに替わり始め、先生は生徒たちに深く考えることを身に着けさせるようになったのです。すべてのニュースは世界同時にまるでそこにいるように報道され、テレビも薄型デジタルのワイドスクリーンになりました。再生医療も始まり、医療の多くがIT技術により、より正確に判断され、様々な治療法が開発されその結果として寿命も伸びたのです。ガンでさえも早期発見により治療できるようになったのです。

この20年のパラダイムの変化を今のほとんどの皆さんが体験してきているのです。残るは未知への挑戦と自然環境との共存です。

皆さんがもしあと60年生きることを念頭にこのキャリアパスを考えるならば、今あなたが望んでいることをあげてください。

これからの20年間で世の中はガラッと変わります。

40年後は考えることもできないでしょうし、ましてや60年先にどうなっているかなど...。地球人が一つの単一民族になって、今の私たちから見てエイリアンになっているかもしれないのです。全く異なる世界に入るかもしれないのです。ほとんどの人はそんなことを考えること自体馬鹿々々しいと思っているかもしれませんし、どう考えても自分にとって現実的でないと思っているかもしれません。でも起こるのです。それらはすでに予知できているのです。でも嫌なのです、自分の姿を過去の姿に照らし合わせてみることが。自分の最盛期を過ぎた映像が固定観念として目の前に浮かび、そんなのは嫌だ、恥ずかしくて人にはとても見せられないと感じるのです。

でもこうなっていたいと思う方もいるのです。

それはとても幸せで、若々しく、人生を青春と思う人たちです。すべて気の持ち様です。しかし、急に自我が強くなり、自己主張が強くなって新しいことに拒否反応を起こしたときに挑戦ができなくなります。また人との会話が少なくなります。それは他の人を寄せ付けなくなるからです。大切なことはそのようなときに考えた事をオープンに誰とでも話せることが必要なのです。人は一人では生きていけません。思考力が広く大きくそして自由に考えられるような状況を保つことです。

これらを未来のキャリアとして考える場合には、今の自分をしっかりと見据えていなければ軸がずれてしまいます。自分自身をしっかりと認識し、他人と交わる。それがまずあって、出発点なのです。

皆さんは自分の現在地、信念、自分に対しての大切な言葉を持っていますか。 その言葉が自分を奮い立たせ、死ぬまで頑張るのだという信念です。

社長がそれを持った途端に社員は頑張ります。それは社長の未来キャリアの話かもしれないのです。上司がその言葉を持っていて部下がそれに気が付いたときに、初めて部下は上司の強い言葉についてくるのです。これが本当の愛ではないでしょうか。愛を感じるキャリアなのです。

人間は面白いものですね。強い人についていくのではなく、その人が持っている自分に情熱を与えてくれる強い言葉についていくのです。その人の自尊心が強い信念とは違うのです。他人に発することができる未来への挑戦の言葉なのです。未来に起こることを楽しむ光景です。

病気も同様に自分が弱いと思ったとたんに病状が悪化したり、自分は大丈夫と思ったとたんに治ったりするのです。良い悪いではなく穏やかな言葉はとても気持ちが良い音楽のようです。強い言葉は心を奮い立たせ他人に対して気づきを与えます。

では60歳になった人たちは何の強い言葉にひかれているのでしょう。この年代になるまでにすでにいろいろな挑戦、冒険、苦労、危険な経験、失敗、成功、達成を経て成長してきているのです。
この成長過程において人々は強くなったり、我慢したり、元に戻る気持ちを整理してきたのです。

もし皆さんが自分の人生の一生を見ることができるとしたらどんな設計をしますか。それらを言葉で表すことができますか、それともイメージできますか。

価値観を実現する人生ですか。
希望と夢が多い人生ですか。他人を尊敬する人生ですか。ビジュアライズできますか。勇気と挑戦の気持ちをもって知らない世界につきすすむ精神力ですか。
現在分かる現実の延長ですか。

キャリア一つをとってもエグゼクティブコーチの役目は非常に多く、哲学、化学、物理、自然科学等の要素が入り、これらは非常に強いエネルギーが必要とされます。私たちが今本当にどこにいるのだろうということを未来への挑戦として考えること自体が無理なのかもしれません。あるいはそのような思考ができるようになるかもしれないのです。

杉井要一郎 / 2018年2月4日号 © 2018 Gledis Inc. All rights Reserved.

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