2月第3週号 コーチングを受ける側から見たコーチの資質とは

#51 パフォーマンスコーチング

クライアントが千差万別であるようにコーチも千差万別です。

毎週大学でコーチングの講義をしています。私だけでなく、その内容に即していろいろな講師陣を揃え、延べ20名の講師が学生とともにCo-Coachingをしています。

この講義では生徒の知識と能力のPerformanceを上げることを目標にしていますが、一番力を入れて、全ての講義を通して行っているのが80%以上思考力をアップさせることです。

思考力を上げればどうなるか。
思考力を上げれば自分でいろいろな事を考えるので、答えが一つだけではなくなるのです。
その人の思考能力、資質がアップするのです。

今までは答えを出すこと、また求めることに集中していました。
それは明確な答えを求めるような質問だったからです。それができる人が賢人と見なされていたのです。

賢人と物知りとは違います。それを何に対してどのように応用・活用させるのかを知っているということではなく、その先を導くきっかけになり、広く、深く展開させていくことができなければならないのです。

コーチングではキャリアパスを多くとりあげています。それは人生、ビジネス、趣味、未来のあり方を今のうちに考えて、自分の資質がわかってきた時の選択方法として潜在意識の中に入れておいて欲しい大切な項目だからです。

単なる知識や技能(スキル)ではなく、資質をしっかりと備えて欲しいのです。
キャリアが課題ということは言うまでもありません。キャリアには人生のキャリア、仕事のキャリアなどがあり、その人にあったものを見つけないと資質とは言えませんので、コーチはしっかりとこれを勉強をしなければなりません。

いろいろなことでコーチは難しいように見えるのですが、これらはある程度の勘をつかめば出来ることです。その勘を掴む、プロフェッショナルになることがコーチにとってはまず必要で、そのためにコーチは勘どころを押さえたり、コツをつかむための実践的な演習をするのです。

そのための対象者が多くのクライアントであり、コーチトレーナーなのです。

人は話だけでは分からない世界で暮らしています。
世の中分からないことだらけです。
今までのように理解するための知識の習得ではなく、どんな環境に遭遇しても自分でそれらにチャレンジすることのできる、コミットすることができる気づきを探すことを教えることが教育なのです。
そのための思考力を磨けるようになれば、みなさんは悩みや束縛から解放され、自由に自分の未来を楽しむことが出来るのです

これからは自分を見つける旅に出ましょう。
自分が何を求めているかの旅です。
そのためのいろいろな自己認識をコーチとともに楽しみましょう。
コーチはこれらに長けているのでそのたびごとに気づきが出てきます。

コーチ自身にもいろいろな気づきが生まれるでしょう。
これはコンサルタント、カウンセラー、メンターたちに教えてもらうのとは大きく違います。

そのためには自分がこうなりたい、自分の求めているリファレンスとしての像を探して、その人の振る舞い、思考を真似しましょう。 リファレンスしたい人が思い浮かびますか。
近くにいますか。 その人と話すことができますか、それとも本とか動画から学ぶことができますか。

コーチの資質がある(人間関係に理解がある)人から聞きましょう。
れっきとした資格を持っているともっと信頼がおけます。
自分のReference がある時にはその人を自分の引き出しに持ってきましょう。

自分で5年以上コーチをしているといろいろなことに気づきが出ます。そこが本当のプロへの入り口となるのです。

経験を積むと傾聴ができるようになります。全ての情報が整理されて入ってくるようになるのでむやみやたらに知識だけを吸収する必要がなくなります。

プロとしての自分の特徴を持つことになり、その特徴に関しては他の人に引けを取らずに、何度やっても同じようにきちんとゴールに連れて行ける道しるべを置くことができるようになり、自分でもその流れに入っていくのです。

自分の知らないところで気づかせてくれるようになる。
それこそが自己実現ですね。

今あなたはキャリアのプロセスの中にいます。
目前の目的を明確に見ることができますか。
それとも自分の10年先20年先の目標を探していますか。
10年先20年先の目標は断定しなくてもよいのです。あなたが到達しようとした時には環境が変容しているかもしれないからです

早いうちに自分のReference 参考となる人を見つけましょう。

学校においては知識の吸収はあたりまえです。卒業後に実践で使えるような行動知識も身につけなくてはなりません。
学校は学問が目的だったので、今までは思考力のアップに繋がるような授業は受け入れられませんでした。

私たちの課題は、これらの知識を早く、自分のものにするにはどのようにしたらよいのか、その方法論も研究しているのです。

一般的にはOn The Job Training、すなわち 実際に分からないことを話し、教えて、やらせてみて、出来ないことは、やってみせて、自分で体験させて初めて理解できるのです (山本五十六)。ただ知識をつめこめば良いという教え方から、教えて、本当に理解させ、自分の腑に落とし、自分で実行できる、という行動理論へ持っていくのが理想です。

・キャリアパスを知ること
・AI・cognition 認知の新しい考えかた
・脳科学の発展による思考の原理の解明
・行動理論、社会行動論など新しい行動理論
・実践による失敗から学ぶ大切さ(自分の思考にするには失敗経験が一番有効)

なんでも思ったことはできると信じること、そのためにはPriority, 自分の資質をより強固なものにするにはどうしたらよいかを思考すること。

本当に親身になって話を聞いてくれる人、信頼できるコーチとはどんなものかの自分の考えを持つこと。
コーチの資質をどのように見極めるかを知るのも大切です。

ノーと言えないコーチ; No Commitment  コミットするということは何があっても絶対に物事を達成することですから、「はいやります」と言って出来なくなってしまうのとは違います。

本当のコミットメントとはをコーチ自身が理解していなければなりません。
それらはコーチングと他との違いで勉強します

なんでもできるというコーチもいらっしゃいます。
結局は自分に観察眼がなければ誰にコーチしてもらっても効果は薄いのです

あなたにとって大切なものをコーチが理解してくれているか。
あなたの課題を本当に真剣に対応できるようになっているか。


杉井要一郎 / 2015年2月第3週号 © All rights Reserved by Gledis Inc.

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