8月第2週号 リオ・オリンピック ラグビー7人制で快挙!

#131 経営・スポーツコーチングの神髄

サクラセブンズがオリンピックに出ること自体が最高の感動です。

私たち経営者にとってラグビーの精神と経営は共通して理念、夢を追う、不屈の精神、本質を語る物語です。


経営・スポーツコーチングの神髄


日本のラグビーが男女揃ってオリンピックに出場する、こんな夢のようなことを50年前に誰が考えたでしょう。

オリンピックリオデジャネイロ大会のラグビー7人制で男子は南アフリカと3位決定戦の末4位。女子のサクラセブンズもオリンピックに出場。
我々ラガー、経営者にとっていずれも夢の中の夢でした。

経営者の精神とラグビー精神は理念、不屈の精神ということで共通しています。
ラガーは最後まであきらめない、経営者も最後まで絶対にあきらめない、逃げない、未来への挑戦です。
これこそ経営の神髄です。心技体を追い求める経営と競技の競演です。

ラグビーは肉体的・精神的に極限まで戦う紳士のラフなスポーツです。日本の女子ラグビーチームのサクラセブンズの出場は、2015年のワールドカップに続く快挙です。
よくぞこのような結果を出すまでに成長してくれました。本当に素晴らしい感動の2016年です。そしてまた2019年の日本でのワールドカップ、2020年のオリンピックに向かって練習と学習が始まります。日本のチームがBreak throughする日が待ち遠しいです。

1955年にラグビーを始め、1965年から社会に出て会社で働き、今は経営者となっている私たちシニアラガーマンは、ラグビーと経営は共に不屈の精神を持つことであるというその本質を語ることができます。

昨年のラグビーワールドカップで日本に敗れた南アフリカの選手は、今度こそは絶対に負けないという意気込みを持って戦いに臨んできました。日本との準々決勝では両チームの選手だけでなく監督をはじめ、コーチ、サポーター、総てのステークホルダーが一体となってノーサイドになるまでのすべてが、私たち経営者から見ると世界中で戦っているビジネス戦士の働きと全く同じに映って見えました。
どんな苦しくても、どんな事態に陥ってもノーサイドになるまでは、死に物狂いで必死に戦う戦士であり、試合までの厳しい練習(Training)と正しい戦略戦術をこなすための思考力を研ぎ澄まし、そのための準備をして体を鍛え、精神力を高めて倫理、ルールに従って戦いに挑むことが試合に出る人の義務であり権利となっているのです。

今年の高校ラグビーの合宿を長野県菅平に見に行って驚いたことがあります。100校以上の中学、高校、大学、クラブの選手たちがランダムに毎日試合をしているのを見て本当にびっくりしました。
昨年、一昨年とは周囲の雰囲気が全く違っているのです。経営で言うContextです。環境とその場のピリピリした雰囲気です。
2015年のワールドカップでヘッドコーチのエディー・ジョーンズが日本に世界品質のラグビー旋風を起こした後、ラグビーのスキルが飛躍的に向上したのです。
経営で言うトランスフォーメーション(Transformation)が起こっているのです。
これは何もコーチが変わったのではなく、世界のトップレベルの試合を実際にテレビやインターネットで見るようになって日本のラグビーレベルは急激に底上げされ、技術も体力も精神力も向上しました。

なぜか?

常に良い試合、素晴らしい選手たちの戦いぶりとコーチによる定期的な激しい練習の姿勢を見るだけでもその魂が共感され、移ってくるのです。こんなにすごい気持ちが心の中で触発され、向上し、シンクロニシティ―(synchronicity)が起きているのかと本当にびっくりしたのです。
良いもの、本物を見ることの大切さがここでも証明されたのです。経営者が学習し続けるのと全く同じです。
今の高校生のスキルは10年前の大学生のそれに追いつくレベルにまでなってきているのです。もちろん高校生はまだまだ体つきも体力も筋力も戦略も大学生にはかないません。
私の見ているのはその未来への資質です。
体力、体重も昔と違って力強く、大型になってきています。これも体重管理、筋肉作りをしっかりとしているからです。

30年前の高校ラガーの平均体重は74kgであったのが今では79kgにもなっているのです。

一流経営の在り方、トランスフォームがスポーツにも起こっていて、こんなにも大切だという事が現実に目の前で示されているのです。

これからが経営とラグビーの共通した理念です。

経営者は常にリーダーの育成に力を入れています。最新の経営思考を取り入れ、実際のビジネスでは競合に負けないように日夜、研究開発、戦略を練ってグローバルな環境と戦っているのです。
不屈の精神力で社会貢献が出来るまでの結果を出すためにです。

人間は、感動するゲームを見たり、未来の夢を考えると、向上心が湧いてくると言う事です。

これも経営と全く同じです。
常に新しいことに向上心を持って挑戦するのです。
そのためのリーダーを育てましょう。
そのためには良い経営を見聞きし、毎日の思考の研鑽が必要なのです。

杉井要一郎 / 2016年8月第2週号 © All rights Reserved by Gledis Inc.

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